実質金利も忘れないで!?外国為替と「物価・金利」の関係をまとめてみた
こんばんは!当ブログ管理人のますかっと(@hayato_k0315)です!
ここ1ヶ月ほど自民党が大胆な量的緩和を推進するという思惑から円が売られまくっていますね。本日時点で1ドル86円まで円安が進行しています。先月まで対ドルで80円を切っていたので6円以上も円安が進んだことになります。動きにくいドル円がここまで動くのにはビックリです!
量的緩和でここまで円安に・・・そもそも円の価値ってどうやって決まるのか?基本をご存知の方はたくさんいると思います。このWebサイトに訪問してくださる方は寧ろ私より知識は上じゃないかと思います。
それはおいておいて・・・今回は私の6年間の外国為替での経験も含めて「外国為替と『物価・金利』の関係」をまとめてみました。実質金利が登場しますが、一つの考え方としてご参考にしてください。
「実質金利も忘れないで!?外国為替と『物価・金利』の関係をまとめてみた」と題して進めていきます!
基本は物価
お金の価値を考える時、最も基本となるのは物価だと私は考えています。物価が上がれば(インフレ)間違いなくお金の価値は下がります。
簡単な例を示します。
今、アイスクリームは100円で買えます。1か月後150円になりました。お金の価値は上がったでしょうか?下がったでしょうか?
これってアイスの価値が上がってますよね。つまり物価が上がっているわけです。これは分かりやすいと思います。じゃあ、お金の面から見るとどうでしょうか?今まで100円玉だけで買えたのに、追加で50円も払わなければいけません。これはお金の力が下がった、つまりお金の価値が減ったということです。
これは外国為替を考える上でも最も重要なテーマだと考えています。
物価とお金の価値は表裏一体で、片方が上がればもう一方が必ず下がるのです。
購買力平価説
先ほどの考え方を外国為替で置き換えて考えてみます。そのためにまず「購買力平価説」の考え方覚えておきます
購買力平価説
『経済のあり方が自由である限り、モノ一般はどこの国で購入しようと同じ価格であるのが合理的である。』
分かりにくいので簡単に言うと「通貨の強さは各通貨の購買力の強さに比例する」ということです。
簡単な例を示します。
アメリカでビッグマックが2ドルで売っていました。一方で日本では300円で売っていました。このとき合理的な為替レートはいくらでしょうか?
同じモノが2ドル=300円なので、1ドル=150円が合理的な為替相場と考えられるのです。
では、日本で物価が上がって400円になったら・・・2ドル=400円なので1ドル=200円になります。日本の物価が上がったことで円安になったわけです。
購買力平価説での為替レートの変動は実際は必ずしもこのとおりになりません(為替レートの変動理由には他にも影響力のあるファクターがあるから)。ただ物価を基準として外国為替の方向性を見る基本的な考え方の一つなので、覚えておいて損はないと思います。色々批判もある購買力平価説ですが、個人的には長期スパンで為替レートの変動を見る際には参考になると思っています。
金利
為替レートは様々な要因で動きます。株、金利、物価、景気、貿易収支・・・多くありすぎて何が何だか分かりません。本やWebサイトに書いてあることも微妙に意見がことなります。例えば「物価が上がれば円高になる」とあったり、いやいや「物価が下がれば円高になる」などマチマチです。
まあ、結局のところ「市場に参加している人がどう考えているか」なんですけどね。物価が上がれば円高だと考えている人が多ければ円高になるわけですし、物価が下がれば円高という人が多ければ下がった時に円高になるということです。
これだと結論がでないので理論的には下記のようになります。
物価↑ ⇔ 円↓
先ほどの繰り返しになりますがインフレになれば円安になるということです。でも中にはインフレなのにお金の価値が高い通貨もありますよね。オーストラリア・ドル(豪ドル)などはその例だと思います。
物価↑ ⇔ 豪ドル↑
というわけです。豪ドルは金利が高い通貨です。金利が高い通貨も買われやすいことが一般ですよね。例えば金利の安い円を借りてきて、豪ドルで運用すれば金利差分だけ利息がもらえるわけですから。そのため物価が高くてもお金の価値が高くなるのです。
実質金利
「物価が上がれば、お金の価値が下がる」のが大原則だと言ったに豪ドルの場合違うじゃないか?そう思われる方もいますよね。物価が上がれば間違いなくお金の価値は下がります。なのでオーストラリアでインフレが続けば豪ドルの価値は下がります。
このことを考えるときに物価と金利を同時に考える概念があります。それが「実質金利」です。
実質金利は下記の式で表されます。
実質金利 = 名目金利 - インフレ率
名目金利は政策金利だと思えばOKです。名目金利に物価の概念を考慮したものが実質金利です。
例えば、1000円を利率10%で貯金すれば1年後に1100円になります。それと同時に1枚1000円の肉が一年後に1200円になっていたらどうでしょう?1年前なら買えたのに、今では買えません。20%も物価が上昇したことにより貯金しても損してしまったのです。実質的には利率-10%です。借金しちゃったようなものですね。
こういうこともあるので純粋な金利だけで判断せずに物価の上昇率も考慮に入れないといけないのです。
じゃあさっきのオーストラリアはどうでしょう?2011年度は政策金利は4%台、インフレ率は3%台でした。実質金利は1%くらいですね。日本やスイスを除いた先進国は同じようなインフレ率なので名目金利で為替レートが変動しやすいことになります。そのため名目金利が諸外国より高い豪ドルが買われるのです。
続いて日本はどうでしょう。日本の政策金利は0.01%くらい、インフレ率は-0.3%くらいです。マイナスなのでデフレですね。
政策金利は考えなくてもいいくらい低いので、純粋にインフレ率が実質金利になります。つまり実質金利は0.3%です。政策金利が低くて、金利面では魅力が低い円にもかかわらず(本来円安になるはず)、デフレのため実質金利が高くなり円高になっているのです。
まとめ
今回は分かりにくい為替レートの変動を物価と金利の両面からアプローチしました。実質金利の概念を使用することによって、為替、物価、金利を同時に考えることが出来たわけです。ちょっとした頭の整理にお役立てください。
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