【雑学】理解を妨げる要因-Libor、金利スワップ、ベーシスを例に-

2013年8月25日

この記事の所要時間: 342

こんばんは!当ブログ管理人のますかっと(@hayato_k0315)です!

今回は、「理解」というものについて考えてみました。これを記事にしたくなったのは、私が入社した当時「ベーシス」というものをまったく理解できなかったことを思い出したからです。

何故理解できなかったんだろう?今思い出すと決定的なものが足りなかったからだと思います。

ありきたりですがそれは「超基本」というものです。超がつくほどの「基本」や「基礎」は、教える側にとっても当然の「前提」との認識であるため、教える側にとっても教え忘れがちであり、一方で教えを乞う側もその超基本が抜けているために「どうしても理解できない」という事態に陥りがちになります。

教える側も当然の前提として教えることをしない、乞う側もそんな前提がそもそも存在してるかすら分からないといった形で溝が埋まらず、理解ができないのです。

Liborと金利スワップとベーシス

私が入社して数ヶ月たったとき、外国為替のディーリングルームでの出来事。

先輩「このシステムに表示されてるレートはベーシスを含んでんの?」

私「すみません。ベーシスって何でしょうか?」

先輩「ベーシスはベーシスだよ。Libor+αのことだよ。」

私「Libor+αがベーシスですか?」

先輩「違うよ!Libor+αのαの部分だよ」

私「???」

私は、そのレートにベーシスが含まれているかを調べる以前に、ベーシスそのものが全く理解できていませんでした。

他の人に聞いても、

「ベーシスはベーシス!」

「ベーシスは需給関係で決まる!」

「え~と、まず100円のジュースがあってだな・・・買いたい人が増えると110円になってだな・・・」

丁寧に教えていただいているはずなのですが、何故かまったくピンときませんでした。どうしてもベーシスを理解できないのです。

私は、

「ベーシスはα。だからなに?」

って感じでした。

結局その案件自体は他の方が代わりやってくれたため無事に?終了しました。

もちろん仕事上では、結果を出せばオーライなのですが、理解できないまま仕事は終了し、モヤモヤが残り続けました。

それからは、家に帰ってからも毎日のようにインターネットや書籍でベーシスを調べ続けましたが何時まで経ってもベーシスを理解することはできませんでした。

そんなある日、本を読んでいると「金利スワップ」という項目がありました。

よく読んでみると

金利スワップ = Libor + α

「あっ。これか!」

私に足りなかった前提事項は以下のものでした。

金利スワップの本質的な理解 ⇒ 金利スワップは需給関係によりレートが変動する

Libor(ライボー)は、ロンドンの銀行間での短期変動金利であることは知っていました。銀行間でも短期金利の貸借が行われているので需給関係により常時変動しています(ご参考⇒銀行預金金利を予測)。

金利スワップは、このLibor同士を交換する取引です。例えば、3ヶ月物ドルLiborと3ヶ月物円Liborを交換するとき、ドルの方がより需要があれば(ドルの方が人気ならば)そのドルLiborにプラスの金利をつけて円Liborと交換することができます。

金利スワップも外国為替やLiborと同じく需給関係で決まるのです。需給関係で生じるこのプラスの金利こそがベーシスだったわけです。

先輩たちは金利スワップそしてそのレートが需給関係で決まることを当たり前のように知っていたのです。そして私も、まさか金利の交換に需給関係があるなんてまったく想像もしていなかったのです。この当たり前の前提事項を知らなかったために長い間ベーシスを理解できなかったのです。

まとめ

理解を妨げる要因には、知ってて当たり前の前提事項に気づいていないこと。そして、知っていて当たり前のことなので、教える側もそれを伝えることができないこと。このギャップによって生じることもあると感じました。

学ぶ側があることをどうしても理解できないとき、そして教える側もあることをどうしても理解させてあげられないとき、両者の間に見えない前提知識や理解のギャップがあることも疑ってみると良いかもしれませんね(^-^)